TDMA blog

ガーディアン・アドバイザーズ株式会社のTDMA(Tech Driven Management Advisory)チームがITに関する様々な情報発信をしていきます。 

DX時代のSDGsの捉え方

先日、就職活動中の学生に「希望する会社のどこを見るか」という話を聞いたところ「SDGsへの取り組みです」と大真面目に言っていました。少なくとも私たちの世代ではあり得なかったことかなと思うのですが、日々若い学生と接していると、この手の話は今のデジタルネイティブの特徴の一つだと気づきます。

 

さて、そのSDGsですが、私が住む長野県白馬村2019年12月に「白馬村気候非常事態宣言(Climate Emergency Declaration)」を表明しました。

白馬村は国から特別豪雪地帯に指定されていますが、年々雪の降り方や、気温がこれまでと大きく且つ急激に変わってきていることを体感します。

夏が暑くなり、冬が短く、雪は降ってもすぐ溶けてしまう印象です。1日も長く雪が残って欲しいスキーヤーとしては居た堪れない気持ちですが、しかし、私たちが便利な生活を無尽蔵に追い求めてきた結果だとすれば、真摯に受け止めなくてはなりません。

 

気候変動は待った無しですが、それでもスノーリゾートが生き残るためには、やはりDXが必要と強く思うのです。

私が言うDXというのはITシステムの導入のようなことではまったくなく

「文化の更新」「人事施策」「科学の導入」の3点です。

f:id:TDMA:20210331175308p:plain
気候変動を今日の明日で解決することはできません。

となると重要なのは自ずと「緯度」と「標高」であることがわかります。

長野県よりも北海道の方がコンディションが良くシーズンは長いですし、白馬村でもスキー場の下方は3月後半にはクローズしはじめていますが、2000M付近のコースはGWまで営業できます。そこに「テクノロジー」という要素を加えます。

つまりここで言うテクノロジーとは標高の高いところに人を運ぶリフトやゴンドラの類だったり、寒ければ雪をつくることができるスノーマシーンのことです。つまり「緯度*テクノロジー」「標高*テクノロジー」というのが見えてくると、次の経営戦略へと結びつくのです。

 

前述した通り、私のDXの理解は「文化の更新」「人事施策」「科学の導入」の3点ですから、「緯度」と「標高」という科学(事実)を捉えた上で、しっかりビジネスにインプリメンテーションすることが重要ということになります。

そしてDXですから、そこにテクノロジーが必ず塗されるのです。

 

緯度の高い、例えば北海道のような場所や、標高の高い場所は、スノーリゾートだけではなく、農作物や海洋生物の「移転先」としての価値も検討されます。

ただし気をつけなくてはいけないのは、ゴンドラやスノーマシーンといった技術は大量のエネルギーを使います。片方で気候変動をなんとかしたいと言いながら、大量のエネルギーを使う構図になってしまい、どうやってニュートラルにするのかという議論を積み重ねなくてはなりません。既に外資のリゾートではSDGsを担当するCxOが一般的になっており、日本にも徐々にその風潮がきているのはそういった背景があります。

 

ところで、個人的に、スノーリゾート活動の中でPHEVの車を導入しました。

村内だけ、リゾート内だけであれば、十分にバッテリーとモーターだけでゼロエミッションが可能です。ただ、難しい問題もあり、私が導入したPHEVは後輪をモーターが、前輪をエンジンが担当します。豪雪地帯ですから、スノーシーズンは100%四輪駆動状態になくてはならず、結局エンジンを動かさなくてはなりません。

また、電気を貯めるための回生ブレーキアイスバーンが日常茶飯事の環境では予期せぬスリップを招くため、これも切らなくてはなりません。また、そもそも、200Vの充電設備をフル稼働させると、真冬の床暖房の利用度が高い状況で、かつ、IHで料理をしているときにブレーカーが作動してしまうため、電気の契約を40Aから80Aにする必要があり、年間5万円を超える追加出費になりました。PHEVでゼロエミッションを実現できても、最終的にエネルギーは移転しただけで、お金で肩をつけただけです。もはや、何をもって「ゼロエミッション」なのかわからなくなってしまいました。難しい問題です。

 

この難しい問題に対し、豊田章男氏は2020年12月17日に自工会の会長の立場で危機感を伴ったスピーチを行い、多くの人が注目しました。同時に、いわゆるCASE(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))への後押しは待った無しで、国内においても自動車税の全額免税措置や相当程度の補助金が用意され、補助金だけで総額300万円を超える試算も飛び出しています。

 

ここまで勢いがつくと、本当にこれが気候変動に資するのかどうかという議論に霞がかかってくるようにも感じる一方で、日本メーカーと欧米勢(特に米国)のこの「風」の捉え方の差もとても気になります。特にCASEを経営で捕まえるときIT前提経営®️の思想はとても重要だと考えており、例えば、テスラのギガファクトリー(上海工場)における鋳造技術の導入などは、これまでの常識を覆すものだと世界中から驚嘆されているのです。

 

さて、話をDXに戻しますが、「文化の更新」「人事施策」「科学の導入」の内、残る2つ、つまり「文化の更新」と「人事施策」ですが、まさにギガファクトリーで起こっていることは単なる技術の選択の域を大きく超えた「文化の更新」であり、車のマニュファクチュアラーとしては異例の人数の社会学や哲学のPh.D.の雇用や、ソフトウェアエンジニアの雇用は「人事施策」であり、テスラなどは三拍子揃ったDXを実践している企業と言えるのだと思います。

 

ガーディアン・アドバイザーズ株式会社 パートナー

立教大学大学院 特任准教授

高柳寛樹

 

----

IT前提経営®︎アドバイザリーでは、IT導入のハードルを解消する具体的な助言(セキュリティ担保などの必要なIT投資や社内ルールの整備などに関するアドバイス)による働き方改革の推進についてご支援させて頂いています。

ケーススタディ_働き方改革支援

その他支援の事例をまとめた資料については弊社のIT前提経営®︎アドバイザリーページよりダウンロード頂けます。

また、高柳の著書はこちらよりご参照ください。

IT前提経営」が組織を変える デジタルネイティブと共に働く近代科学社digital)2020

まったく新しい働き方の実践:「IT前提経営」による「地方創生」(ハーベスト社)2017

----