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活字の時代から音の時代へ(字→音)

Clubhouseという音声SNSアプリがバズっています。

早速ご招待を頂きパトロールをしていると「立ち聞き」感はとても楽しく、プライベートに2-3人でマニアックな話をしていると、たまに入室者が現れ、話もできます。

イーロンマスクが現れ一気に5000人の立ち聞きが現れサーバーが落ちたり、元AKB48小嶋陽菜が「降臨」して騒ぎになったり、「成功者」というおじさん達が自慢話を繰り広げてデジタルネイティブにディスられたり、と話題に事欠きません。

 

SNS時代に面白いのは、活字と動画(音声)の関係です。

数年前に、私が受け持っていた高校3年生の授業で、活字と動画(音声)に関するアンケートをとったことがあります。

この時の仮説は「音声の時代から活字の時代」(音→字)に移行しているのではないか、というものでした。

 

振り返ると、1970年代後半生まれの私の世代は完全に音声の時代でした。

中高生の時代には、とにかく友だちと家に帰ってから夜遅くに長電話をした記憶があります。「メディアとしての電話」は「脱・場所」を実現してくれる数少ない技術でした。

しかし最近はLINEに象徴されるようにテキスト(活字)のコミュニケーションに移ってきているのではないか、という仮説です。

実際、私たち世代も日々の仕事のコミュニケーションは電話(音声)からメール(活字)に完全に移行してしまいました。

 

さて、当該アンケートの結果は、仮説が支持されました。

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ここから分かるように、「強く思う」と「ややそう思う」を合計すると、私の生徒たちの殆どが「テキスト」のコミュニケーションが心地よいと回答しており、親世代が電話(実際は電話でなくLINE通話などのIP電話の類)してくることに、自由記述において「うざい」というコメントが散見されました。

このアンケートからまだ3年しか経過していませんが、私はこの3年間で、今度はテキストから動画(音声)に彼らのツールが逆シフトしているのではないかという印象を受けました。

今まで「動画(音声)」と書いてきましたが、正確には動画が伴わない「音声」のことです。時間の合間にYouTubeをラジオ代わりに聞いたり、AbemaTVの音声だけを聞いたりというという具合です。

2コマ続きの私の授業の合間の生徒たちを観察していると、耳にイヤホンを入れて、YouTubeを再生している風景をよく見ますし、私自身も移動中に同じことをしています。

いわゆる「ながら」行為の典型です。お風呂に入りながら、キッチンで料理をしながら、車を運転しながら、の「ながら」行為において、動画を伴わない音声が非常に有効なのです。よって、本当はこのように不得意なブログを書くよりも、最低2人くらいで、聞き手を設定し、テーマを絞った音声ブログにした方が、たぶん、もっとたくさん読んで(聞いて)いただけるのだと思います。

 

つまり、その本質は忙しい毎日の中での「ながら」視聴にあると思っています。

 

今年は大学・大学院の授業がすべてオンラインになってしまいましたが、私の顔を見ながら講義を聞くよりも、音声だけの方がどれだけ学生諸氏にとっては良いかという議論もしたことがあります。

実際、東京大学水越伸先生は、コロナ禍におけるSoundCloudを通じたポッドキャストについて同じ指摘をしています し、古くはラヂオデイズはだいぶ前からこの本質を捉えたサービスを展開しており、同プロデューサーで作家の平川克美氏は「ラジオは聞く方もやる方もコタツで適当にできるからいい」ということをいつもおっしゃっていました。

 

さて話をClubhouseに戻すと、テキストか音声かという議論も重要ですが、なにより「ながら視聴への適合性」ということが重要なのではないかと理解しています。

活字に最適化されている人にとっては、音声は「斜め読み」ができないので扱いづらいと言われることがありますが、移動時間を使いたい人にとっては活字より音声が適しています。今の時代、スマホを基準に考えた場合、「メディアとしてのスマホ」がどのシーンで利用されるのかということを良く考える必要があります。

 

どうやら高校生向けアンケートはアップデートする必要がありそうです。テキストと音声との二項対立ではなく、もう少し立体的に、その利用シーンについて聞く必要がありそうです。

 

ちなみに、2021年度の私の大学2年生のゼミは、オンラインになってしまうのであれば、Clubhouseで公開ゼミをやってもいいかなと思っています。

 

ガーディアン・アドバイザーズ株式会社 パートナー

立教大学大学院 特任准教授

高柳寛樹

 

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